「言わずもがな」の使い方!本来はどういう意味?類語や例文も紹介
「それはなあ『うちは言うてへんがな』って意味や。」
「あんた、ホンマに言うとんの?」
「ホ、ホンマやがな。」
って、関西の漫才みたいな話ですが、
これは関西弁ではありません。
今回、現代ではあまり使われることが少なくなったこの、
「言わずもがな」
という言葉の使い方についてみていきましょう。
「言わずもがな」の意味とニュアンス
「言わずもがな」は、
という意味で使われています。
でも実はこれは現代においてのことであって、昔は多少違っていました。
現代ではほとんど使うことがない
「もがな」
という言葉ですが、本来、この「もがな」は
「~であればいいな」
という意味です。
ということは、この
「言わずもがな」
は、
「言う必要はない」
という意味だったと考えられます。
それがいつしか
「言うまでもない」
いう意味で使われるようになりました。
この「言わずもがな」を昔から好んで使われている年配の方の中には本来の意味で使われている方もいらっしゃいますが、大抵の現代人は「言うまでもない」というニュアンスで使われているほうが多いように感じます。
使い方と例文
この言葉の本来の意味で使うならば「言わないほうがいい」という意味なので、
- 例文)
誰かが
「失敗したのは私が誰にも相談しなかったことだ。」
と言った時に
「それは言わずもがなだな。」
と他の誰かが言う。
これが正しい使い方だと思います。
また、別の使い方で、
- 例文2)
「プロジェクトの失敗の原因は言わずもがなだけど、私が誰にも相談せずにやったことだ。」
という風に使えば、本来の意味と現代の意味の両方で使うことができるでしょう。
現代的な意味では
「焼肉でも行くか?」
「腹が減っているので、言わずもがな行きます。」
という使い方になります。
「言わないほうがいい」という本来の意味とは、
かなり違った使い方になりますね。
しかし、これをいつ使うかという問題があります。
若い人にはまず通じないとして、
お年寄りに使えばいいかというとそうでもありません。
お年寄りだから知ってて当たり前だと思い、これが通じなければ、逆に馬鹿にされたように感じる人もいるでしょう。
そう考えると、お年寄りの中でも学がある人、または向上心がある人ということになってきます。
そのほか、使う前に
「言わずもがなって言葉があるじゃないですか。」
と言ってみて、相手の反応を見きわめるという手もアリかと思います。
私も以前に、かなり年下の人から
「やぶさかでないです」
と言われて、あれっ、やぶさかでないって何だったっけ、なんて思った記憶があります。
そう考えるとこの言葉を使う場面って本当にむずかしいですね。
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似たような言い回しや類語
「言うまでもない」
「当然」
という意味で使われていますので、
「当たり前」とか「言わずと知れた」
みたいな言葉が似たような言い回しとなります。
こっちのほうが使い慣れてますね。
難しい言葉では「言を俟たない」「論を俟たない」というのもあります。
何て読むんだというどよめきが聞こえてきそうですが、
前者は
「ゲンヲマタナイ」、
後者を
「ロンヲマタナイ」
と読みます。
意味は「言うまでもない」「議論するまでもない」ということで、
やはり「当然」という意味ですね。
また「もがな」を使って「書かずもがな」で、
書かないほうがいいという意味になりますし、
「聞かずもがな」で聞かないほうがいいいうことになります。
平安時代に書かれた伊勢物語には、この「もがな」を使った文が出てきますし、鎌倉時代に書かれた徒然草には「心あらん友もがなと、都恋しうおぼゆれ」という一文があります。
意味は「心が通じる友いたらな、都も恋しいのにな」みたいな感じになると思います。
古文ではこういう使い方もされていました。
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まとめ
今回は「言わずもがな」という言い回しの使い方や、本来はどういう意味だったか、そしてどのような意味に変化していったのかについて紹介しました。
古文などをみてみると、
「ああ、言葉ってどんどん変化していってるんだなぁ。」
と実感しますよね。
こうやって今文章を書いてますけど、
500年後にはまたぜんぜん違ったルールの言葉遣いになっているんだろうなぁ。
それもまた、「言わずもがな」ですけどね。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ
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