「賽は投げられた」の賽(さい)の意味とは?英語での全文もチェック!
「すでに賽は投げられた!」
ドラマや舞台のクライマックスでよく使われるセリフですよね。
カッコイイ響きですが、よく意味を考えると意外と曖昧に覚えていたりしますよね。
「さて、もう後には引けないし、やるっきゃねーぜ!」
といった印象がありますが、実際のところはどんな意味なのでしょうか。
そもそも、賽とは何なのでしょうか。
お賽銭(おさいせん)の賽の字が使われていますが、やっぱりお金をなげるのげしょうか。
日本で生まれたことわざなのか、
それとも外国から入ってきたことわざなのか……。
今回は、
「賽は投げられた」
ということわざの正しい意味や語源、使い方や英訳表現についてまとめてました。
由来と使い方
今回の主役は、古代ローマの英雄・カエサルです。
ジュリアス・シーザーの名でも知られる彼は、紀元前30年から40年頃にかけてローマ軍の司令塔として圧倒的な力を誇り、ローマ帝国の領土拡大に貢献しました。
はじめのうちはカエサルを有能な司令官として評価していた軍の上層部ですが、ローマ市民の信頼がカエサル自身に集まっていることを知ると、次第に彼をうとましく思うようになります。
そして、紀元前49年。
ローマ帝国の元老院(カエサルの上司のような存在)は執政部と手を組み、カエサルの本国召還を画策します。
遠征先からカエサルを強制的にローマに呼び戻して総督としての役職を解任し、ローマ軍と引き離すことで、国内での力を弱めようとしたのです。
本国召還の先には、永久的な国外追放が待っています。
そのことをわかっていたカエサルは、元老院の召喚命令に従おうとはしませんでした。
市民から本当に信頼されているのは自分のほうだと、自信を持っていたのですね。
命令にそむく決意をしたカエサルは、その意志表明として、ローマ帝国と属州との境に流れるルビコン川を渡ります。
上司の命令にそむくわけですから、もう後戻りはできません。
その気持ちを込めて、川を渡る時に彼が言い放ったのが、
「賽は投げられた!」
だったと記録されています。
もっともこの言葉はカエサルのオリジナルではなく、親交のあった喜劇作家からの借用だったそうです。
本人が考えたわけではないと聞くとちょっとガッカリですが、この決断のおかげでローマ帝国はさらなる繁栄を築くのですから、やっぱりカエサルは英雄なんですね。
ということで、賽とはサイコロを意味します。
サイコロは振られた。つまり物事はもう動いているのだから前に進みつづけるしかない。
というニュアンスで使われます。
1~6のどんな目が出るかはわからないけど、自分の決めた通りにやってみるしかない!というカエサルの強い意志が感じられるようですね。
英訳すると?
さて、「賽は投げられた」はもちろん日本語ですが、
英語で言った場合にどのような表現になるのでしょうか。
ここでは英訳をチェックしてみましょう。
賽は投げられたを英語でいうと、
- The die is cast
または、
- The die has been cast
となります。
dieは死ではなく、サイコロ(dice)の複数形です。
ほとんど直訳なのでわかりやすいですね。
また、後戻りできない状況に陥ることを表すことわざとしては、
- Crossing the Rubicon
(ルビコン川を渡る)
という表現もあります。
もう少しポジティブなニュアンスの言葉としては、
- Show must go on
があります。
生の舞台にやり直しはありません。
一度幕が上がったら、どんなハプニングがあろうとも劇をつづけなければならない。
人生も同じように、たとえどこかでつまずいても立ちどまらずに、前だけを見て生きていこう…。
そんなエールが込められたことわざです。
日本でも喜劇のタイトルになっているので、わりと知られているかもしれませんね。
ほかの言葉に置き換えてみよう
冒頭の「さて、もう後には引けないし、やるっきゃねーぜ!」というニュアンスは」はだいたいあっていましたね。
ここでは、「賽は投げられた」を別の言葉に置き換えてみましょう。
・・・・・・・
後戻りができないという意味では、日本のことわざにも、
- 「人事を尽くして天命を待つ」
が近い意味として使われていますよね。
ネガティブな言い回しですと、
- 「あとは野となれ山となれ」
といったことわざもあります。
どちらも「やるだけやったので後は・・・」という意味合いですが、どちらを使うかでずいぶん印象が変わってきますね。^^
文章を書いている時や、仕事の話をしている時などに、少し役者がかった表現などを使いたい場合など、こういった少し渋い日本語が「スッ」とでてくるとちょっといいですよね。
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まとめ
今回は、「賽は投げられた」の意味や由来、語源などについて紹介しました。
このことわざの歴史はとても古く、古代ローマのカエサルが言った言葉が起原となっていました。
「賽」はお賽銭のことではなく、「サイコロ」のサイだったのですね~。
英語では、
The die is cast
と言い、重大な決断を下す場面で使われます。
日本語だとそこそこ有名なことわざですが、アメリカや海外だとどうなのでしょうね。
ちょっと気になるところです。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ
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