「三つ子の魂百まで」の意味!科学的にはどうなの?
「三つ子の魂百まで」
子供の頃から変わらない人に対してこんな表現をすることがありますよね。
しかし、「三つ子の魂」というのは何をあらわしているのでしょうか。
正確な意味や使い方が気になります。
また、「三つ子の魂百まで」というのは現実にも当て嵌まるのでしょうか。
科学的、心理学的な見地ではあり得ることなのかどうか知っておきたいものです。
今回は「三つ子の魂百まで」の意味についてまとめました。
子育てするうえで三歳までに意識しておきたいポイントも紹介していきましょう。
目次
「三つ子の魂百まで」の意味
まずは、「三つ子の魂百まで」の意味についてチェックしていきましょう。
- 三つ子の魂百まで
幼い頃の性格は歳をとっても変わらないという意味です。
ここでいう「三つ子」というのは三歳のことで
幼い頃、子供の頃をあらわしています。
実はバリエーションが多いことわざで、
いろいろなバージョンがあります。
「三つ子の根性百まで」
「三つ子の知恵百まで」
「三つ子の魂八十まで」
「三つ子の魂七十まで」
「三つ子の魂六十まで」
魂という部分や歳の数が変化しますが、おおむね同じ意味です。
ちなみに「三つ子の魂百まで」を三つ子で生まれた三兄弟だと思っている人も
多いですが、三つ子というのは「幼い頃」という意味なので兄弟の意味の
「三つ子」ではありません。
小さな子供を見たことのある人は分かると思いますが、
確かに、乳児の頃から個人の性格は出来上がっているような気がします。
科学的にはどうなのか
では、科学的にはこのことわざは的を射ているのでしょうか。
実はこの点に関しては、証明が非常に難しい分野でもあるため、
一概に「こう!」とは言えないのです。
個人の性格や資質の形成には、脳とココロ(心理)の2つが
大きく関与しているとしましょう。
今回はこの2つの視点から、考えてみます。
脳から考える
まずは、脳という臓器に着目してみましょう。
脳を構成する細胞は「神経細胞」です。
この神経細胞からは複雑に分岐する突起が出ており、
他の神経細胞へと突起を伸ばしてネットワークを形成します。
このネットワーク(神経回路)上を電気信号が駆け巡る事で
脳としての複雑な機能を生み出します。
この話は、高校生物なんかで習った人もいるでしょう。
この話から考えるに、神経回路の複雑さによって
脳の働きに違いが出てくると言えそうですね。
では、この神経回路はどのように発達していくのでしょうか。
少し古い資料ですが、1968年に発刊された、
日本の脳生理学者・時実利彦先生の「脳と人間」という本で紹介されている
人間の脳の発達をグラフ化したものを下記に掲載します。
赤枠で囲った部分は、生後間も無くから2歳までの赤ちゃんの神経回路の図です。
黒い線が多いほど、神経回路が充実している事を示しています。
この図を見ると、二歳までの間に大幅に神経回路が充実していることが分りますよね。
さらに、同図の曲線グラフは年齢と脳の発達具合を数値化して表したものです。
20歳の脳を100として数値化したものです。
これを見ると、3歳までに6割程は出来上がっているのが分りますね。
この発達の過程で、体内で分泌されるホルモン等が関与して、
神経回路の充実具合が変化する事は大いに考えられます。
が、この機構が非常に複雑です。
乳幼児期の虐待等が脳に与えるストレスによって、
脳の発達が著しく阻害される事は分かっています。
ですが、通常の育児環境で何が大きく関与しているのかを明確に証明するのは
個人差や環境要因、遺伝要因も大いにあるため、難しいのです。
この辺りの話は様々な説が取り上げられ、マウスでは「特定のホルモンが良い」といった
学術論文も報告されているので、今後の展開が楽しみなところです。
「脳」という臓器は夢のある分野と言えますね。
心理学的には?
では、心理学的には「三つ子の魂百まで」は根拠があるのでしょうか。
子供の成長と周囲の環境を研究する発達心理学では特に
「三歳までに」という区切りはありません。
幼い頃の環境が成長に影響を与えることは確かですが、
その後の成長過程や出会う人によって性格や感覚、価値観は変化していきます。
英エディンバラ大学の心理学研究によると
同人物の14歳の頃の性格と77歳の頃の性格を比較したところ一致性が見られず、
ほとんど別人になっていたことが分かりました。
長い期間が空くとだいぶ性格に変化が起こる
とも主張しています。
しかし、異常犯罪者の心理学研究によると
犯罪者の多くが幼少期に虐待やネグレクトなどの
被害にあっていたという研究結果もあります。
脳の発達から見ても、心理学的に見ても、「三歳まで」などの区切りはありませんが、
幼少期の環境がその後の人生に多大な影響を与えることは確かなようです。
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三歳までに意識しておきたいこと3つ
脳と心理学の面から色々見てみましたが、乳幼児期の体験が
子供の発達という面から重要な事は経験的にも分かっています。
色々なものに触れ、色々な場所に連れて行って良い刺激を与える事は
結果的に脳の発達にも繋がりますよね。
その際重要なのは本人の好奇心を動かしてあげることです。
自主性を育てる
何でも先回りして必要なものを子供に与えてしまうと、
子供はどんどん受け身になってしまいます。
望まなくても欲しいものが手に入るので、
あまり周りに目を向けることもしなくなります。
しかし、それでは子供の好奇心は刺激されません。
子供の自主性を育てるためには、あまり親が手を出さず
「自分からチャレンジしたい!」
と思わせるのが大切です。
たくさんの人間と会話させる
幼少期は外部からいろいろな刺激を受けて脳が発達していきます。
「子供の頃に聞かせてもどうせ分からない」
と思ってしまいがちですが、理解はできなくても
新しい言語を聞かせることは子どもの発達には有効です。
一歳~三歳ではそこまで会話ができませんが、
いろいろな人に合わせていろいろな言葉を聞かせることは重要です。
安心感や信頼感を与える
乳幼児期に保護者や周囲の人から「守られている」という感情を与え、
また、親とスキンシップを多く取ることは人間関係を形成する上で
重要だと言われています。
これは、スキンシップなどで「オキシトシン」と呼ばれるホルモンが分泌されるためと言われています。
オキシトシンは、良質な人間関係や信頼関係、幸福感を得るために重要なホルモンです。
ほかの子と喧嘩しても、ちゃんと仲直りが出来る
といった経験も大事ですねよ。
これも、信頼関係がないとできないことです。
知人のお子さんは、4歳でもきちんとした言葉を話していました。
明らかに同じ年齢の子よりも語彙が多彩だったのを覚えています。
お母さんに聞くと、
「普通に(大人と同じように)会話していた」
との事でした。
最近は、「赤ちゃん言葉」というのは良くないとも言いますし、
乳幼児だからと言って適当な言葉を使うと、その子の為にならないんですね。
気を付けないと・・・ですね!(○`・Д・´)9
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まとめ
今回は「三つ子の魂百まで」の意味や使い方について紹介しました。
幼い頃の性格は歳をとっても変わらないという意味で
「小さい頃は積み木遊びに夢中になっていたけど、まさか大工さんになるなんて、
三つ子の魂百までだね」
という使い方をします。
三つ子は「三歳」という意味ですが、明確な数を意味しているのではなく、
「幼い頃」という意味です。
つまり五歳や六歳の話であっても「三つ子の魂百まで」は使えます。
小さな頃の影響と言うものは、いろんな意味で計り知れません。
ですが、大人になってからでも脳の訓練はできます!
多くのことを学ぶうちに、繋がりの分らなかった物事が音を立てて繋がるような、
そんな現象に出会う事があります。
これは、脳内で遠くにあった神経細胞が、突起を伸ばして繋がっていくような感覚です。
そんな感覚に出会えれば、「自分で脳を育てる」楽しさを知ることができますよ。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ
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