宋襄の仁の漢文!書き下し文や現代語訳について
「宋襄の仁」
のお話をご存知ですか?
「難しくて読み方すら分からない~!」
という人も多いのではないでしょうか。
(^^;
これは「そうじょうのじん」と読みます。
ただ、読み方がわかっても、
まだあんまりピンとこないですよね。
難しい漢字ですし、何となく中国っぽいイメージがあります。
いったいどんな意味があるのでしょうか。
成り立ちなども気になりますね。
元になった漢文はどのようなお話しなのでしょうか。
今回はこのことわざの漢文の意味や、
書き下し文と現代語訳に分けてまとめました。
それではさっそくみていきましょう。
宋襄の仁の意味
- 「宋襄の仁」の意味
相手に無用のあわれみをかけること。
不必要なつまらない情けをかけたせいで酷い目に遭うことのたとえ。
このことわざは情けをかけた結果、酷い目に遭ったり、まったくの利益がなかった場合に使う言葉。
なので、助けた相手から裏切られたり、助けなくてもいい敵を助けてしまったときなどに「余計なことをした」という意味で使うことが多いです。
見慣れない漢字だと思いますが、元々は中国の言葉。
「宋襄」は中国春秋時代の宋の君主である襄公(じょうこう)をあらわしています。
そして、「仁」は思いやりや情けの心をあらわしています。
この故事は「春秋左伝」の「十八史略」に載っていて、襄公が楚の大軍と対峙したときの場面をあらわしています。
どんな漢文だったのか、原文や詳しい意味などを見ていきましょう。
宋襄の仁の漢文
宋子姓、商紂庶兄微子啓之所封也。
後世至春秋、有襄公玆父者、欲霸諸侯、與楚戰。
公子目夷、請及其未陣撃之。
公曰、君子不困人於阨。
遂爲楚所敗。
世笑以爲宋襄之仁。
書き下し文
宋は子姓、商紂の庶兄微子啓の封ぜられし所なり。
後世春秋に至り、襄公茲父という者有り、諸侯に覇たらんと欲し、楚と戦う。
公子目夷、其の未だ陣せざるに及んで之を撃たんと請う。
公曰く、「君子は人を阨に困しめず」と。
遂に楚の敗る所為る。
世笑いて以て宋襄の仁と為す。
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現代語訳について
宋は子姓の国で、商紂王の兄である微子啓(びしけい)が封国された所でした。
後に時代が春秋時代になって、襄公、茲父という人物が出て、
諸侯に対して覇者となろうと望み、楚と戦いました
君主の子である目夷は、
「楚軍がまだ陣型を整えないうちに出撃しよう」
と君主に願いました。
ですが、君主襄公は
「君子とは人が困窮しているときにつけ込んだりしないものだ」
といい、相手が陣形を整えるのを待っていました。
その結果、襄公の軍は楚に敗れてしまいました。
世間の人は笑ってこれを、
「宋襄の仁」
といいました。
類語
なかなか世知辛いお話しですね。
(^^;
さて、このお話しですが、日本語で似た意味だど、
どんなことわざがあるのでしょうか。
ここでは「宋襄の仁」と同じような意味で使う類語を紹介していきましょう。
敵に塩を送る
争っている相手が苦しんでいるときに、争いの本質ではない分野については援助を与えることを意味しています。
これは戦国時代に今川に塩を止められて困窮していた武田信玄に対して、上杉謙信が塩を送って助けたという逸話に基づいています。
争っている相手を助ける、情けをかけるという部分は「宋襄の仁」と共通していますよね。
しかし、「敵に塩を送る」には「その結果酷い目に遭う」「身の程知らずな情け」という意味合いはありません。
同義語というほど意味合いは近くはないようですね。
蛇を画きて足を添う
余計なつけ足しやなくてもよい無駄なもののたとえ。
絵を早く描く競争をしたときに、蛇の足まで書いてしまった男が結果負けてしまったという故事が元になっているます。
なので、こちらには余計なことをした結果悪いことが起きるというニュアンスがありますね。
結果の状況だけみれば「宋襄の仁」と似ていますが、こちらには敵対している相手や情けといった意味合いはありません。
阿房律儀
これはことわざではありませんが、義理堅さや実直さを持っている人でも、それが過剰になり、状況も見えていなければ、阿呆に見えてしまうこともあるという意味となります。
大事な戦いの場面で勝利よりも君子としても振る舞いの方を優先させてしまった宋襄の行動に通ずるものがありますよね。
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まとめ
今回は「宋襄の仁」の意味や使い方、元になった漢文などをまとめてみました。
思いやりをあらわす「仁」が入っているので、
「良い意味なのかな?」
と思ってしまいますが、つまらない情けをかけたせいで酷い目に遭うことを意味しているのでした。
確かにつまらない情けをかけた結果、失敗してしまう状況ってありますよね。
友達の課題や制作の手伝いに夢中になった結果、自分の課題がおろそかになってしまったり、
「自分を優先すれば良かった~」
と後悔する状況は珍しくありません。
思いやりを持つことや相手に優しくするという心自体は大切なものですが、状況をしっかりと見て
「今何を優先するべきか」
というところを見極めなければ「宋襄の仁」になりかねない場合もあるということですね。
人生ってなかなか難しいです。
今回は以上です。
ご参考になりましたら幸いです。
(*゚ー゚*)ノ
タグ:漢文
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